鍛冶屋あれこれ                    

鍛冶屋には野鍛冶、道具鍛冶、刀鍛冶など様々ありますが、刀鍛冶が上、どれが下というもので
はありません。

それぞれの道で、それぞれの名人がいます。
      
野鍛冶は地域の鍛冶屋。注文を受けて様々なものを作ります。図面により、又注文に応じた物を作る能力は、大変なものがあります。

刀鍛冶はあくまでも、刀を作る鍛冶屋です。

産地の鍛冶屋は、作るものを限定しています。
包丁でも刺身包丁しか作らない、ハサミでも握り鋏しか作らない、というのは刃物の産地では普通の事。
金槌や包丁、それぞれの名人がいます。
狭い、限られた社会での名人ですから、多くの人に知られる事はありませんが、その技術力は素晴らしいものです。
しかし残念ながらこの国からその技術は、消え去ろうとしているのです。

鍛えについて
トンテンカン、トンテンカンと叩いて何をしているのでしょう。
そう、一つは刃物の形作りです。
でももう一つ、重要な役目があります。
それは鋼と地金(柔らかい鉄)をくっつけて(鍛接)、その後ハガネに粘りを持たせる作業。
鋼を硬く焼きを入れするだけなら割と、たやすいのです。しかしハガネに粘りがないと、ポロポロと欠けてしまって使い物になりません。それで焼入れ温度より少し低い温度に赤めて叩きます。すぐに冷えてしまうので、てきぱきと作業します。
形を作りながら、この作業を合わせて行っています。途中少しでも温度が上がりすぎると、組織を細かくする作業のやり直しです。当然焼入れの時も、少しでも温度が上がり過ぎると冷やしてもダメ。又、最初から組織を細かく、粘りを出す作業のやり直しをしてから、改めて焼入れです。この一連の作業が良い刃物を生みます。この作業を
鍛え、とか鍛錬といいます

焼入れ温度

現代は赤外線などを利用した、良い温度計がたくさんあります。当然、鍛冶屋も使います。しかし最終的には適温を目で確認します。何故だろうと思っていたら、タタラでも目で確認すると聞きました。現在のタタラは日立金属が研究の為に行っているので、当然温度計はたくさん設置しています。しかしその温度計はあくまでも目安で、正確なところは目でないと分からないのだそうです。
不思議ですね。





刃物の大喜(はもののだいき)